5月2日

 シャッターを半開きにしておいてよかった。陽の光がなしではあそこまですんなり起きられなかった。父に淹れてもらったコーヒーを飲んで、身支度。出掛け、母がなぜか温泉卵を差し出してきたので、飲み込むようにして食べる。駅への道のりでは暇を持て余していた。ポッドキャストも音楽も気分じゃなくて、ただ歩くしかなかった。

 

 5年振り。少し前まではもう会うこともないのだろうと思っていたのに、ここ数か月で急展開があった。行くつもりだった台湾料理店が改装中だったので、よく通っていたタイ料理屋を目指す。名古屋にはないお店。無事営業していることにほっとして、いつも食べていた卵とじのカレーを頼んだ。

 彼女はすっかり母親然としているようにも、あまり変わっていないようにも思えた。かわいいのは相変わらず。気まずかった数年間のことには触れず、それ以外のいろいろな話をした。私はそれでよかったんだけど、少しは話した方がよかったのかな?と電車に乗ってから思った。

 「子持ち」にも「独身」にも当然いろいろあって、私たちはそれぞれの層の真んなかあたりにいる、と少なくとも私は思っている。だから「(彼女の独身の友達二人が)韓国で香水探しに4時間もかけていたのについていけなかった」というのには共感したし、「だってしょうがないよね、あなたが家族のことに遣っている時間を私たちは自分のために遣えるんだし」と言ったのは本心だった。彼女も私の、一応少しは選び取った話題についていけないといった様子は見せなかった。

 

 誰もいなかったから、歩いて10分の場所にできたスタバで時間をつぶす。本を持ってくればよかったと思った。「私のトナカイちゃん」を観終える。外に出る頃には空気が冷え切っていた。昨日の夜も寒かった。