10月16日

 月曜なのに出社。お財布をおろして、好きな服を着て、メイクはいつもより薄めに。熱いソイラテを携えて9時までに着席。すべてを決めてあったとおりに進める。思いのほか大丈夫だった。それはきっと、あの人を信用したことが一度もなかったからだと思う。

 

 最寄りに着いたら寂しくて、どこにいてもばったり出くわす可能性に備えてしゃんとしている。心のどこかでは当たり前のように連絡を待っている。そのうち、ふざけた感じのメッセージが届くと思っている。たったそれだけ。現実が視界を掠めた瞬間足がすくむようなあの嫌な感じは、ない。

 「悲しい」と「これでよかった」が混じり合ったときのなんとも言えない居心地の悪さ。自身を疎かに扱いつづけたことからくる、漠然とした頼りなさ。どこかでなにかを変えていたら、然るべき場所で立ち止まっていたらなにかが違ったかもしれないという淡くて妙な期待。あの人を好きなときの私を、他の誰でもない私が好きになれなかった。

 

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